熔岩堤防について

熔岩の流れは両端がもともとの地面や空気に触れて、冷えやすく流れにくいが、熔岩流の中央の部分は冷えにくいので速く流れる。流れの遅い両端が固結して堤防状に残るものを熔岩堤防と言う。

天明三年の浅間山大噴火の際に流れた熔岩堤防の外観を展示する

 

Jバンドより

賽の河原より

山頂直下を流れる熔岩

浅間山中腹の熔岩堤防

右にカーブする

地面に向かった固結する

褐色の熔岩も混じる

表面は黒褐色で不整形

ガスの抜けた気泡を認める

 

 

熔岩堤防の外観

 

 

さび色の熔岩堤防はは山頂より真っ直ぐに流れ、中腹のやや盛り上がった丘(1903m)の所で、右側に向かって流れた。堤防の厚さは山頂から少し下った所がもっとも厚く、中腹ではやや薄くなり、右側にカーブするところでは再び厚くなっている。熔岩堤防の特徴としては山頂から少し下った厚い堤防は、表面が平滑で三色の熔岩からなり、地面からさび色が黒褐色、土色の三色で構成されていた。表面の土色は前掛山の斜面と同じ色であり、火山灰かもしれない。山の中腹では全体に薄く粗い表面は凹凸不正で、ガスが抜けたと思われる多くの気泡を認め、所々に褐色の部分が混じるが大部分は黒褐色である。丘のところで右側に向かって流れた熔岩は褐色の熔岩が平滑で、黒褐色の熔岩は凹凸不正でゴツゴツしている。堤防の熔岩は地面に向かって下りながら固結していた。なお、熔岩堤防の外側の山腹は平滑で噴石なども余りみられなかったが、前掛山鞍部から浅間山山頂にかけては数多くの火山弾が認められた。

熔岩堤防を総括してみると、マグマが高温融解体(central pasty layer)の状態で流下し、前掛山の端にブロックされ、かなりのスピードで真っ直ぐに流下し、中腹の小高い丘で右側に向け下った様子がわかる。堤防の高さは3から4メートルとかなり高くなっており、大量のマグマ流れたようである。熔岩堤防は凸凹はあるものの連続しており岩塊になっているものは無い。これは高温融解体状態で流下したマグマが固まり、割れることなく堤防状になったものといえる。熔岩の色は茶褐色、黒褐色のものが多く、表面は凹凸不正で粗く、ガスが抜けた多くの気泡があり、茶褐色に変色した熔岩は鉄分が酸化したものであろう。