浅間山外観
浅間山は雄大な三重式の複式成層火山である。第一外輪山は黒班火山で、そのカルデラ縁が黒班山、牙山、剣が峰などが馬蹄形に連なっている。第二外輪山は前掛山の火口部である。天仁元年の大噴火直後に火口が陥没して生じた小さなカルデラの外輪山が残っている。現在活動中の浅間山の中央火口丘は釜山と呼ばれる。浅間山は見る場所により、いろいろ違う表情を見せる。
1.黒班山の時代(数万年前〜二万年前)
黒班山は浅間火山の最も古い山体で、数万年前から成長を始め、かっては富士山型の成層火山であった。今から二万数千年前、黒班山の東半分が大規模な山体崩壊を起こし、土石なだれとなって、長野県側の南麓と群馬県側の北麓を急速に滑り落ちた。黒班山の山崩れで残った部分は牙山(ギッパ)、火口は湯の平や天狗の露地などと呼ばれている。牙山は東御市や小諸市からよく見える。
2.仏岩の時代(二万年前〜一万年前)
黒班山の活動後、およそ二万年前からは、粘りけが強いマグマによる火山活動が発生するようになり、仏岩の時代となった。仏岩の山体は複数の分厚い熔岩からなり、現在、前掛山の下にその山体が隠れている。小浅間山、離山などの熔岩ドームが作られた。この時期の後半から、大規模な軽石流と呼ばれる火砕流が山麓を覆った。仏岩の断崖と火山体の一部は御代田町、軽井沢町の大日向からよく見える。
3.前掛山の時代(一万年前〜現在)
およそ一万年前からは、成層火山「前掛山」が成長を始めた時代となる。この時代には数百年に一度の割合で規模の大きい噴火が起きた。
天仁元年の噴火は過去二千年間で最大の噴火であり、天明三年の二倍の火山噴出物が堆積した。
前掛山の火口縁は、御代田町、黒班山からよく見える。天仁の噴火で流れた熔岩流は上舞台と呼ばれ、北軽井沢からよく見える。
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数万年前:黒班山の誕生 23,000年前:塚原土石なだれ |
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20,000年前:仏岩熔岩流 18,000年小浅間、白糸の滝軽石 15,000年:大窪沢軽石 13,000年:第1軽石流 11,000年:第2軽石流 |
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10,000年前:前掛山の成長 AD.1108年:天仁元年の噴火 AD.1783年:天明三年の噴火 AD.1950年:最近の噴火 AD.1973年:最近の噴火 |
浅間山外観
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